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渡航に先立って、今回のプロジェクトの担当をするOCP財団の方と、あらかじめテレビ会議をする機会に恵まれました。そのときの事を書いてみようと思います。
担当される3名(女性2名・男性1名)の方と、私のサブチーム、アメリカ・中国・日本の3名の4拠点での会議。中国のメンバーの回線の調子がイマイチで、待つ間に自己紹介。まずはお互いの名前をどう発音するのかから確認です。私はJunなので、外人にもわりと簡単に覚えてもらえるのですが、発音が「ジュン」より「ジョン」に近いことが多くて、訂正するか「ジョン」で通すか、ちょっと迷ったりします。先方の担当者の女性、綴りだけ見ると、日本人の女性によくある名前なので、会議前から親近感を持っていたのですか、最後のアルファベットは読まない、と言うことを教えてもらいました。最後を読まないと、日本人には珍しい名前です。
そうこうしているうちに、中国のメンバーの回線も安定して、先方からのプロジェクト説明が始まります。メインで担当される男性の方から、かなり熱いお話を聞くことが出来ました。
まず第一に、モロッコは貧富の差、また都市部と田舎で、教育格差が非常に大きいとの事。特に田舎では、公立学校があまり質の高い教育が出来ておらず、ドロップアウトする学生が多いとの事。その格差縮小をOCP財団の使命の一つにしているとのことです。今回のプロジェクトの評価指標も、このドロップアウト率を指標にするということです。事前に調べていたモロッコの教育事情とも合致するので、納得しながら話を聞いていました。
第二に、OCP財団は、これまでは主に奨学金をメインに支援をしてきた、ということです。ですが、奨学金制度では、成績がいい人しかその恩恵にあずかれないことを、問題視しているようですした。奨学金がもらえなくても普通に勉強が出来る子が、田舎でも、貧しくても、支援を受けられるようにすることが、今回のプロジェクトの大きな目的のようです。これは、資料等にはまったく書かれていない情報でした。そのために教育のためのシステム基盤をつくり、既に展開している「放課後教室」と併せて展開し、モデル的な形態を作り上げた後、拠点の数を増やしていく構想です。いわば、奨学金のような「点」の支援から、システムを利用した「面」の支援をしたい、とのことでした。我々に課されているのは、このシステムのデザインです。
第三に、既に展開しているOPCの社員による家庭教師支援です。OPCの社員を一ヶ月田舎に派遣して家庭教師をする支援を、社員のリーダーシップ育成も兼ねて、誇りを持って展開しているとのことでした。延べ人数で1000名ほどが派遣されているとのことでした。なんとなく、IBMのCSCと似た精神を感じました。
いろいろと質問をしながら、熱のこもったお話を聴きました。
訪問の初週に、実際に田舎の「放課後教室」を訪問する段取りを取っていただく約束をして、一時間半ほどで会議は終わりました。
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会議後、いろいろとブレインストーミングをしてみました。
このプロジェクトはシステムのグランドデザインを定義する「システム アーキテクト」の仕事かな、と思います。何か達成したい要件があり、それをシステムに求められている要件に落としていく作業です。
ですか、実際に何が問題なのかは、電話の会議や書類だけでは見えてきません。いろいろな仮説が成り立ちます。
システム化して、うまくいくモデルをつくった後の「面」での展開を考えると、すでにある事例としては、例えばベネッセが展開してCMでもおなじみのいる「チャレンジ」「進研ゼミ」などの「タブレット型の授業」を思いつきます(うちの息子が、一時期、受講していました)。また少し形態は違いますが「放送大学」も、最近はインターネット視聴に力を入れていますので、同じような形態かと思います。この場合、あらかじめ定型のコンテンツを、かなりの数、準備することが必要になります。
しかし、OPC社員のボランティアの強みを生かそうとすると、単にコンテンツを準備するだけでは不十分で、昨今はやった「スカイプ英会話」のような、インタラクティブなものが望まれるかもしれません。前出のベネッセも、そのような授業を展開しています(うちの息子も、一時期英語で受講しいてました。)。しかし、インフラなどの面が追いついているのか、予算的に確保可能なのかが気になります。
一方、このシステムの効果として「学校からのドロップアウト率」を指標にすることの難しさも、ありそうな気がします。最終的にはドロップアウトに対する効果を期待するとしても、裾野をいきなり引き上げるよりも、今、学習意欲がある人に対しての指標を定義して、システムデザインするほうがいい気もします。その場合、大学進学率などの指標を、他の制度と併せてデザインする方法もあるかもしれません。この場合、一時期話題になった「バングラディッシュ ドラゴン桜」や、最近CMでやり始めた、リクルートのスタディサプリ「980円神授業、見放題」のように、インフラよりも、「合格」などの目的に沿ったコンテンツに重きを置いたほうがいいかもしれません。
…などと、今ある情報から仮説を重ねることは可能なのですが、実際に何を悩んでいるのか、それぞれのステークホルダーに聞いて、整理していかないと、今の段階では何ともいえません。一ヶ月という短い期間の制限がありますので、今回の派遣では、この「要件の整理」が、仕事の主な内容になりそうな気がしています。
そのために、到着早々、「放課後学校」の事情から、その生徒、OPCのボランティアの先生にいたるまで、短時間でいろいろな情報を集める必要を感じています。
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2018/04/06
ついに出発
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出発前のごたごたで、なかなか更新が出来ていなかったのですが、、、、ついに出発の日を向かえ、トランジット先のパリに向かう機内でこのブログを書いています。
CSCに応募をする人は、プライベートでも海外渡航経験が豊富な人が多く、私のように新婚旅行でしか海外に行ったことがない・・・、という人は珍しいかもしれません。慣れない海外旅行の準備、しかも一ヶ月の旅行のための準備に、かなり悩まされました。
モロッコの通貨ディルハムは、事前にモロッコ国外で入手することが出来ません。国外に通貨を持ち出すことが、原則できないとの事。ひとまず、経由地フランスの通貨でもあるユーロを準備して、現地に到着次第、デビットカードかクレジットカードで通貨を引き落とす予定でいます。
モロッコの4月の気候は、調べる限りは日本の気候と似通っているようです。とはいえ、砂漠に近いこともあり、昼夜の寒暖の差が激しいようで、ビジネス用も含めて長袖、半袖を準備するとそれなりの量になってしまいます。あれこれ悩んで、ずいぶんと時間を使ってしまいました。最後の選択が正しかったのかは、モロッコにいってみないと分りません。
羽田空港でチェックインをしいてると、オーストラリアのメンバーから「飛行機にのるよ」とのWhatsAppのメッセージ。インドのメンバー含めた4人は、アブダビで合流することになるようです。
私はパリ経由なので、現地に着くまで誰とも合流がありません。空港内で食べたラーメンの写真を送り、渡航を知らせました。しかし、今更ながら、世界のどこにいても、こんなやり取りが出来るなんて、すごいものです。
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